円滑なコミュニケーションを進めるために、取っておくべき対策は?

円滑なコミュニケーションを進めるために、取っておくべき対策は?

ELIO TRUONG

プロジェクトのスコープ、スケジュール、コスト、品質などのマネジメントはIT業界で従事している人であれば、よく聞いている言葉かもしれません。実際、プロジェクトを運営していく中で、円滑に進めるためには適切なコミュニケーションが欠かせない活動です。IT業界だけではなく、他の業界でもよく起きているコミュニケーションのトラブルの例としては、「把握しているけど、共有するのが遅い」、「情報が知ってもらい人には回っていない」、「十分な確認をせず、思い込みで作業」などあげることができます。コミュニケーションの管理はプロジェクトマネージャー、リーダーなどに任せた方が良いと思う人が少なくありません。しかし、場合によっては頼りにすぎると自分なりの解決策を見つけ出すことができず、コミュニケーションの失敗で仕事におけるストレスがたまる一方になってしまう恐れがあります。それで、私たちが日々仕事の中で、コミュニケーションをスムーズにとるために、実際に工夫できることについて考えていきたいと思います。

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目次

  1. コミュニケーションの形式
  2. コミュニケーショントラブルが起きる主な原因
  3. スムーズなコミュニケーショントを目指して、工夫できること
  4. まとめ

1. コミュニケーションの形式
まず、どのような場合でコミュニケーションが発生するか考えていただきたいです。
・プロジェクトの進捗を口頭で報告する
・会議の日程をメールで調整する
・会議で話した内容を議事録を作成する
上記で、「報告する」、「調整する」、「作成する」という言葉が出現しますが、これは向こうの相手に、知ってもらうために行われる行動です。つまり、コミュニケーションは口頭で話すことにとどまらず、文章やドキュメントの閲覧によっても成立します。
コミュニケーションは様々な手段で行われますが、その形式は以下のような3つで整理することができます。

①相互型コミュニケーション
2人以上の当事者の間で、情報が交わされるコミュニケーション形式で、上にある例でいうと「プロジェクトの進捗を口頭で報告する」に当たります。つまり、会議やテレカンなどで相手に伝えたい内容を話したり、共有したりすることによって、相互型コミュニケーションが発生することになります。

②プッシュ型コミュニケーション
特定の人に情報を送信するコミュニケーション形で、上にある例でいうと「会議の日程をメールで調整する」に当たります。以前、決めた会議の時間が取れなくなったので、「相手に伝えて調整させてほしいという目的で、コミュニケーションを取った」と解釈すれば良いでしょう。

③プル型コミュニケーション
自分の意思で必要な情報にアクセスするコミュニケーション形式で、上にある例でいうと「会議で話した内容を議事録を作成する」に当たります。議事録は自分のためだけではありません。他の人に同じ認識を持ってもらうために作成したものです。

2. コミュニケーショントラブルが起きる主な原因
コミュニケーションの発生条件は当事者が二人以上いることです。
つまり、伝える側と受け取る側が存在しないとコミュニケーションが成立しないと言えます。
コミュニケーショントラブルの原因は山ほどありますが、私が実際に経験したミスからまとめると以下の主な原因を上げることができます。

①省略
コミュニケーションの基本は5W1Hであり、「誰が」、「誰に」、「いつ」、「どうやって」、「何を」のどれが抜ける、ミスが起こってしまう可能性が高いです。
顧客と様々なプロジェクトに関わってきた中で、よく会ったのは「暗黙の了解」によって発生したミスコミュニケーションです。お客さんが「言わなくても、やってくれるだろう」と思って、指示内容を省略する傾向があります。そのあと、不具合を指摘された開発者が「これ、仕様書にないのに、なぜ不具合なの?」と揉めてしまいます。
上記の例では、「何を」という情報が不足しているため、コミュニケーショントラブルの発生につながる直接的な原因だと言えるのです。
そして、作業が立て込んで、相手に伝えるべき内容を伝えられなかったり、不足したた内容で相手を誤解させたりすることも「省略」によって起こるトラブルであると理解してほしいです。

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②思い込み
思い込みはコミュニケーションを取る上で、あってならないミスです。
伝えたい内容を伝えただけ、理解度を確認せず相手に伝わるはずだと思い込んでいると、必ず後からトラブルが発生します。
また、理解度を確認できたとして、指示したのと全く違う成果物が上がってこられる経験をした人が多いかもしれません。この場合、原因は伝える側になく、受け取る側の思い込みにあるはずです。最初は正しい認識を持っているのに、作業していくと、どんどん誤った方向にずれてしまうのは本当に残念です。

コミュニケーションで発生するトラブルの原因は、伝える側にある時もあれば、受け取る側にある時もあり、場合によって、どちらにもある時もあります。大切なのは、「どうして伝達したことが違う意図で相手に伝わってしまうのか」について知ることです。

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3.スムーズコミュニケーショントのために工夫できること
コミュニケーションを円滑に進めるために、どのようなことをすればよいでしょうか?
これまで関わったプロジェクトで、様々なトラブルを経験してきましたが、改善のために自分にできることはないか考えてみました。ほとんどのケースをカバーできないかもしれませんが、自分が今対策していることについて紹介したいと思います。

①できるだけチャットを減らす
上に述べたように、コミュニケーションは口頭で話すことだけでなく、メールやテキストによるやり取りでも成立します。Teams、Slack、Skypeを使って、大切な仕様や日程などを確認するが一般的ですが、チャットのボリュームが多くなるとたどり着くのがすごく大変です。やってほしいことをファイルやドキュメントで一元管理した方が、タスクが落ちることが防げるし、課題があったときに追跡がすぐにできるではないでしょうか。

②思い込みはしない
「いわなくても、やってくれるだろう」、「そんなに説明しなくても、彼ならわかるはずだ」などという思い込みでコミュニケーションのミスを起きるということ認識して、やってほしいことをお願いするときに、「誰が」、「誰に」、「いつ」、「どうやって」、「何を」のどれかが抜けていないか必ずチェックしてから、依頼するようにしましょう。また、「これ」、「あれ」のようなあいまいな指示語をできるだけ少なめにして、具体的に伝えてあげることも大切です。

③複雑な内容の場合、必ず理解度を確認する
たとえ、うまく説明しようと努力したとしても、相手が本当にそれが理解できているかどうか判断が付きづらいときもあると思います。受け取った情報を話させることによって、相手がどこまで理解できているのか確認できます。

4.まとめ
コミュニケーションのトラブル無意識しない時に必ず発生してしまうので、深く注意する必要があります。しかし、どんなに注意してもミスを0にすることはなかなか難しいかもしれません。自分が経験したことや周りにあるトラブルの原因についてよく考えて、積極的に対策に取り組んでいきましょう。